産業スパイについての答弁
 
内藤正光君
 まず最初に、二人の邦人、日本人がアメリカの地において遺伝子スパイ容疑をアメリカの司法当局にかけられております。そういったことで、まず遺伝子スパイ事件についてお話をお伺いさせていただきたいと思いますが、聞くところによれば、五月十日に文部科学省の方で調査検討チームを発足されたというように聞いております。そして、その担当が水島大臣政務官だというふうにお伺いをしておるわけでございますが、まずこの遺伝子スパイ事件に関する現時点までのまだ二週間しかたっていないということはありますが、現時点までの調査検討状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

大臣政務官
(水島裕君)
 三十秒だけちょっと前置きさせていただきますと、私も今でも研究指導をやっている立場としまして、日本の国内外を問わず、いろんなものを借りたりもらったり上げたりしているので、あるいは内藤委員もサイエンスをおやりになったからおわかりだと思いますけれども、きちっと契約を交わして人間関係をちゃんとしておけば何の問題もないんですね。だけれども、私も経験があるんですけれども、ある人を私の研究所に呼んだら、その人がいろんなものを持ってきちゃったということで相手側から賠償を言われたこともあったということで、そういうことを一つ頭に入れてお答えいたしたいと思います。
 ですから、今度の事件も、米国の報道とか訴状の方から一方的に判断しますと、理研が自分の利益のために、理研あるいは国の利益のために今おしゃっるようなことをしたんではないかと。そういうことであっては大変なので、きっちとその事実関係を把握しようということで、今おっしゃるように、五月十日に情報が入りまして、その日のうちに理研でも調査チームをつっくていただいて、それから文部科学省でも大臣の命で私がチーフになりまして調査委員会をつくりました。
 そこで、主として三つの点について、細かく御説明しろということでしたらいたしますけれども、実際に理研でどういうことが行われていたかということを中心に調査を至急始めて、私どもの役は、理研のチームが一義的に解明することですからこういうことだけはきちっと注意してやるようにということをかなり厳しく申しまして、その一つとしましては、いやしくも外国から理研の調査がなれ合いじゃないかとか内部かばいじゃないかとか、そういうことがないように第三者をつけるようにということで我々は命じて、今そのとおりやっております。
 理研の方は四回、外部の信頼を置ける人を入れまして今まで行いまして、もちろんこれは正式には書面で回答をいただきますので、余り断片的な情報を申し上げると、後で食い違っていたなんということがあるとあれですので、余りもうしあげない方がいいと思いますけれども、そうはっきりとしたアメリカが言うようなことは今のところ出てきてございません。
 ただ、調べてもらいますと、その二人の人、私もよく存じ上げているもので、私も直接電話でこういうところは注意するようにということを申しましたら、意外とやはりちゃんと研究をやっているところはあちこちから材料をもらったりいろいろなことをしておりますので、その先がどうなっているのかということまで調べて思いのほか時間がかかっているということで、私としますれば、でも来週中ぐらいには完全じゃなくても中間的な報告をしていただけるものというふうに期待をしておりますし、そういうふうに向こうに言ってございます。
 大体のところがそうでございますけれども、この事件で理研の国際サイエンスの協力における信頼をなくしたり、今ライフサイエンス振興が非常に重要なときにマイナスの影響がないように、いろんなことを配慮しながらやっていきたいと思っております。

内藤正光君
 事の成り行きを見守っていかなきゃいけないんですが、それは別として、このバイオの世界はもう熾烈な覇権争いが世界を舞台にくりひろげられているわけでございます。
 そんな状況の中、水島大臣政務官のお考えでよろしいんですが、当事者、日本の研究者及び日本の研究機関側にわきの甘さがあったというふにお考えでしょうか。

大臣政務官
(水島裕君)
 余り失言しないようにということだと思いますけれども、大体、日本の研究はわきが甘いところが結構ございます。以前は研究者は研究だけでよかったわけでございますので、情報もみんな交換したりなんかしてもいいけれども、今は非常に産業とか契約とか、そういうのに縛られている関係があるわけでございます。ちょうど文部省と科技庁が一緒になりましたので、研究者教育というのもきちっとやって、今おっしゃるわきの甘さをこれからはなくすように努めていかなくちゃいけないなというふうに思っております。
(中略)
 今のことに関して、そういう法律整備も一つの課題でございますけれども、今現に特許をとるという点でも日本は非常にみんな認識がないわけですね。それから、私の関係の研究所ではそうしておりますけれども、外国から人を呼んだときはきちっと今のようなことを契約を結んでいるわけですね。
 ですから、差し当たりそういうことでもすべての研究所でやるように我が省として検討、指導していくということをまずやる必要があるんじゃないかなと思っております。

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